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しな布とは…
羽越地方(新潟北部と山形の県境あたり)の山間部に生育する「シナノキ(オオバボダイジュなど)」の樹皮から作る日本最古の布です。
そもそも穀物袋や漁網、布団や衣類など暮らしの日用品であったため、現在残されている文献にはほとんど記録が残っておらず、平安中期の法典「延喜式」内に見られるほど。
数十行程以上ある最初の1行程目の「皮剥ぎ」は一家総出で、その後は全て女性の手作業で行い、およそ1年かけて初めて布になります。
春は熊巻狩りや山菜取り、夏は山焼き(焼畑農業)や木こり。秋は鮎やきのこ、雪で閉ざされる冬は、薪ストーブ横でしな糸作りや機織りという暮らしが続いています。そんな自然と共に生きる環境の中で、山がそのまま布になったかのような工芸品が羽越しな布なのです。
しな布は大変丈夫で水にも強く、しなやかで張り感があります。しな布特有の野趣味に加え、上品で微かな光沢を持つ風合いのものは、上質の証です。
現在まで新潟県村上市山熊田集落を含む三集落で奇跡的に受け継がれてきた伝統やその技術は、従事者の減少により、今では大変貴重な布となってしまいました。
しかし、これからも日本の誇りの一つであるこの伝統を未来へ継いでいけるよう、私たちはがんばっています。
山熊田工房 羽越しな布制作・大滝ジュンコ
2021年度 日本民藝館展新作工藝公募賞 入選
第4回三井ゴールデン匠賞 ファイナリスト
2022、23年度 全国伝統的工芸品公募展 入選
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